重厚かつスムーズな乗り味は、すでにV6やV8で味わっていた。ところがW12エクスクルーシブの世界は、想像以上の素晴らしさだった。期待値が高かったにもかかわらず、夢心地になったのだから価値がある。
では、どこが?と言ったら、開発テーマの3要素を究極レベルに近いところまでバランスさせているところ。また、それを存分に体感させられることだ。とにかく、走り出した瞬間からV8とは違う次元の乗り味にハッとさせられる。スタートは滑り出すかのごとくで、そのまま軽くアクセルを踏めば滑かなフィールのまま加速していく。そしてフルスロットルをくれるや、レッドゾーンの6500回転まで一気。軽やかシルキーな吹き上がりがW12ならではだ。
もちろん断然の加速性を見せるのだが、すべてにおいてラフさは微塵も感じられず、ふと気づくとかなりの高速に達しているという調子なのだ。こともなげに高性能ぶりを発揮するところが心憎い。排気音が耳に優しいこと、100km/hでは6速1800、5速2200、4速3000、3速4000回転とハイギヤリングなこともシルキー感のポイントになっている。
加速性だけでなく、乗り心地のマイルド感も出色。少しもゴツゴツしたところがなく、W12エンジンと絶妙にバランスしたしなやかさにホレボレだ。CDCエアサスはスポーツ、オート、コンフォートの3モードがうまく性格分けされている。軽い2.9回転のパワステに素直にこたえてくれるW12は、シリーズ最上の秀作だ。
(文:横越光廣 写真:内藤敬仁(走り)・野澤廣幸(ディテール))