|
自分の知るこれまでのマセラティ観は、パッションの一語。ところが今回GT Sに乗って、そのイメージは一転。パワフルなイメージが先行するのではない、トータル面でのフィールが意外でもあり惹きつけられた。何がと問われれば、ただハイテンションで乗っているのではなく、優雅な気分にも浸れることだ。端的に言えば、その走りはパワフルかつジェントルということ。そこがマセラティのフラッグシップとして注目できるのだ。
とにかく、いざ走ってみてもっとも感じ入ったのは、いたってラクラク、自然にフルパワーを楽しめることである。瞬発力が強力なことは、401馬力、45.0smという数値からも想像がつく。フル加速すれば7200回転のレッドゾーン近くまで引っ張れ、0-100q/h加速の5.6秒が示すとおりの実力に圧倒される。が、それでいて少しもラフな一面はなく、挙動が乱れることもない。というのもシャシー性能とのバランス面で見るべきものがあるからなのだ。
ハードにセッティングされたパッシブ・ダンピング・サスの採用により、車高がフロント10o/リヤ25oのローダウン。フロント49/リヤ51%の重量バランス、シャシー系の高剛性化や、ピレリと共同開発の専用20インチタイヤなどのすべてが奏功しているのだろう。3.1回転の軽めのパワステは手ごたえ上々。底力満点のパワーに応じ、上質かつマイルドな乗り味を見せるところが素晴らしい。
(文:横越光廣 写真:森山俊一・野澤廣幸)
|