インプレッション:三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ
三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ 三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ
■プロフィール
 その名が表すように、エボは毎年確実に進化を続けている。エボVIIIがエボVIII MRに進化するとき、大径タービンの採用などによってパワーアップを果たす一方、リヤの左右駆動力配分のAYCがさらに熟成されるなど、戦闘力を確実に高めている。もうこれ以上何を望めばいいのだろう……という次元まで到達しているのだ。
(UP:2005/1)
最大の進化は、エンジントルク&レスポンスにある
 だが三菱は手を抜かない。なんと驚くことに、エボIXではエンジンにメスを入れた。可変バルブタイミングのMIVECを投入したのである。
 MIVEC投入のねらいはもちろんパワーバンドの拡大である。高回転域を犠牲にせず、低回転を伸ばすための手法なのだ。最大トルクの数値は、40.8kgmでこれまでと変更はない。だが、発生回転数を3500回転から3000回転〜4500回転という、幅を持つに至ったのだ。点ではなく線で強力な最大トルクが絞り出されるようになったのである。
 もともと低回転域はトルクフルだったから、激変するような印象はない。とくに衝撃的だったのは、過給レスポンスの鋭さである。タービンに細工が施されたようで、アクセル操作に対するエンジンの反応がいいのだ。もう遅れを予測して早めにスロットルペダルを踏み込む、などという特殊な操作は必要ない。必要なときに必要なだけトルクを炸裂させることができるのである。
 その効果は、サーキットでの瞬発力よりも、ワインディングでのドライバビリティで威力を発揮するだろう。5速だとか6速でトロトロと流すようなダルなドライビングにも寛容なのだ。乗りやすさといってもいい。柔軟なエンジン特性になったのである。
 じつは、足まわり系も柔軟なセッティングになっている。サスペンション剛性を落とさず、だがしなやかに路面をトレースできるようにセットされているのだ。空力特性の見直しも、高いスタビリティに結びつく。安定感がより一層増したのだ。
 エボはコンペティションの世界で最速の名をほしいままにした。だが同時に、最強のワインディングキラーとなろうとしているのだ。
(文:木下隆之 写真:三菱自動車)
三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ おどろおどろしいデザインテイストで進化を続けてきたエボなのだが、フロントからの眺めではそれほど激しさは感じない。虚飾を排し、効果を的確にねらった造形である。 三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ 開口部はさらに大きくなった。ブレーキダクトのような左右の楕円は、じつはインタークーラーパイプの冷却のため。
三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ リヤスポイラーにリップが追加された。ウイング効果を高めるとされているルーフエンドのスリットも、そのまま継続採用。 三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ ランエボVIII MRに対して、リヤの車高が5mmほど下げられている。それによって、ほんのわずかだけ安定感と旋回性能が増した。
三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ ボディ下面を流れてきた空気を負圧に置き替えようというこころみ。もはやレーシングカーの世界にある。 三菱 ランサーエボリューションIX プロトタイプ インテーク側に可変バルブタイミングが合体された名器4G32ユニットは、もうこれ以上必要ないというほどワイドなトルクバンドを実現している。
ランサーエボリューションIX プロトタイプ(6MT)主要諸元
全長×全幅×全高 4490×1770×1440mm
ホイールベース 2625mm
トレッド前後 1515mm
エンジン 直4DOHCターボ
総排気量 1997cc
最高出力 280ps/6500rpm
最大トルク 40.8kgm/3000〜4500rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 235/45ZR17
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