エクステリアでは大型の前後バンパーを備え、フェンダーはワイド化され、タイヤ&アルミも16インチ化される(オプションで17インチも!)。インテリアはスポーツステアリングや専用シート、アルミペダルなど専用品が奢られ、かわいいチンクをヤンチャな1台に仕立てた。
走りはじつに高度な辛口だ。前述のとおり高められた動力性能は、まさに痛快の極み。発進時に回転を上げてクラッチをつなげば、ホイールスピンしながら軽快にダッシュして気持ちを高揚させる。また、スポーツボタンを押せば最大トルクは21.0s mに跳ね上がる。コンパクトで軽量だけに、この数値でも刺激は相当だ。
しかし、さすが現代のアバルトで、ヤンチャさはあるが破綻はなし。ESPが即座に制御し効率よくクルマを前へ進める。ハイパワー化に合わせてスポーティに仕立てたサスペンションや電動パワステ、強化されたブレーキによりハンドリングも刺激的な味つけ。しかもESPが解除不能にもかかわらず、存分に楽しさを満喫できる走り味を作り込んだ点はお見事だ。
さらにユニークなのはTTC(=トルク・トランスファー・コントロール)という機構。ボタンのオン/オフで、ESPがLSD的な働きをし、効率よく安全にコーナーを立ち上がる。電子制御を取り入れながら走りはむしろ今後のスポーツモデルのベストといえる安心・安全な楽しさ気持ちよさを構築した。そう考えると現代のサソリは毒を抜かれたのではなく、電子制御になってもボクらを夢中にさせる毒を忘れていなかったわけだ。
(文:河口まなぶ 写真:フィアット・グループ・オートモービルズ・ジャパン)